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交通事故「お金は支払えない」加害者が開き直り 被害者「大赤字。心が折れます」悔しさ語る

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交通事故「お金は支払えない」加害者が開き直り

「友達が走行中に後方から追突されました。本日相手方の親が来て、1円も支払わない旨を伝えてきました」。軽自動車の後方がぺしゃんこになった写真と共につぶやかれた内容が、ツイッターで話題になりました。

被害にあったのは、大阪府堺市の30代男性。弁護士ドットコムニュースの取材に応じ、「刑事罰さえ受ければ、お金を払わなくていいのでしょうか。交通事故の被害者は心が折れると思います」と悔しさを語ります。

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●相手は飲酒した上で居眠り

事故が起きたのは9月6日午前2時ごろ、男性は大阪府堺市の自宅に帰るために、片道3車線の見通しのいい直線道路を走行中でした。すると突然、後ろから加害者である女性の軽自動車が追突。その後もアクセルはゆるまず、50メートルほど進んだところで、ようやく車が止まりました。

女性は飲酒した上で居眠りをしていたようで、男性の通報を受けた警察官に現行犯逮捕されました。警察からは「とても珍しい形態の事故」、「あなたには一切の非がありません」と言われたそうです。

男性は追突された瞬間の記憶が飛んでいますが、全身打撲や足首挫傷などの怪我を負いました。また、車はぺしゃんこで、「捜査中でまだ見積もりに出していませんが、修理するよりも買い直した方がいいかもしれない」と話します。

●任意保険は未加入「お金がない」

女性は加入が義務付けられている「自賠責保険」には入っていましたが、任意保険には未加入でした。自賠責保険では、人身損害についてはある程度カバーできても、物的損害はカバーされません。

男性は事故後、女性の親族と話しましたが「お金は一切支払えない」という旨を伝えられたそうです。警察が事故後に呼んだレッカー代の5万円とぺしゃんこになった軽自動車代はどうなるのか。男性は40万円を支払うように打診していますが、女性側は「お金がない」とし、いまだ話はまとまっていません。

男性は弁護士にも相談していますが、「相手方への請求に関して交渉や訴訟をしても、弁護士費用を上乗せした金額なんて払えないのではないか。お金が返ってくる保証がないまま、さらにお金を支払うことが怖い」と迷っています。

「40万円でも大赤字」と話す男性ですが、加害者にお金がなかった場合、回収する術はないのでしょうか。

●差し押えても残金20円

「これまでの経験から、任意保険に入っていないような人が数十万円以上の車両修理費を一括で支払える資力があることは極めてまれです」

こう話すのは、交通事故に詳しい新田真之介弁護士です。自賠責保険が効かない物的損害は、原則加害者に直接請求するしかありません。長期間の分割払いでの示談をすることもありますが、「途中で支払いが止まることもあった」と言います。

また、加害者に対して請求を認める判決が出ても、差し押さえなどその後の強制執行手続きも苦労します。差し押さえの対象となる財産の情報を調べる必要があるためです。

法的には加害者本人名義の財産しか原則差し押さえできないため、まずは、加害者が財産や土地を持っているか、仕事をしているかなどを調べます。ただ、新田弁護士は「相手方の銀行口座を調査した上で債権差押えをしても預金残金が20円しかなかったというような事例もある」と話します。

また、本人が支払えない場合、示談交渉をする中で、近親者が修理費などを代わりに支払うケースもあったそうですが、それを被害者のほうから強制することはできないそうです。

●自衛策としての「車両保険」「弁護士費用特約」

どのように賠償請求すべきか。なるべく多くの損害がカバーできるよう、色々な策を考える必要がありそうです。

では、こうした事故に巻き込まれた場合、どうすればいいのでしょうか。新田弁護士は「備えとして、自分の車両の損害をカバーできる『車両保険』や保険会社がオプションなどで用意している『弁護士費用特約』をつけるという方法が考えられる」と話します。

車両保険は自分の車の損害をカバーでき、弁護士費用特約は相手方への請求に関する交渉や訴訟などの弁護士費用をカバーしてくれるものです。とくに車両保険はその分保険料が割高にはなりますが、自衛策の一つではありそうです。

物的損害についても、自賠責保険のように強制的な加入制度があった方が良いのでしょうか。